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死ぬまでに、やめるから。

それまでは、OTAKUでいさせてくれないか。主に丸山隆平さんと関ジャニ∞について。

ジャニヲタ文芸部 第3回お題「グループ」

ジャニヲタ文芸部
第3回ジャニヲタ文芸部に参加します。
その、前に。

ジャニヲタ文芸部を主催して下さっているエイチさんがヲタ卒とのことで…何だか、ジャニヲタさんのヲタ卒というのは、担当グループ関係なく、どうしても寂しく感じてしまいます。ともあれ、文芸部立ち上げから今まで、ありがとうございました。今後も文芸部は続く方向とのことで、これからも出来る限り参加させて頂けたら嬉しいな、と思います。


今回のテーマは非常にタイムリーで考えさせられるものだな、と思いながら。直接的に論じることが苦手なので、今回も物語に託します。
ほんのちょっとだけエグい表現があるので、進撃の巨人みたいなエグさが苦手な方はご注意下さい。



大丈夫な方は下からどうぞ。
↓↓↓



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とにかく不自由な人生だった。

物心ついた時から、自分の手は、何か蔦のようなもので、自分のものではない他人の手と雁字搦めにされていた。僕の右手と繋がっている隣の奴なんて、反対側の手までも繋がれていたものだから、「なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ」といつも不平不満をつぶやいていた。
左手を繋がれた一人、両手を繋がれた三人、そして右手を繋がれた僕。
思い切り引っ張ろうにも解けず、ナイフで切断しようにも、手首ごと切り離さなければならない状態の僕達は、成長するごとに頭を抱えることが多くなった。
それでも、僕達は生きなければならなかったので。
死のうにも死ねるわけがなかったので。
仕方なく、一人ではなく一つとして、大人になることを決意した。

基本的に、手を使う動作は、僕と一番端にいる奴が担当した。片手だけでも自由に動かせる僕達が、両手がふさがっている三人に食事を与えていた。風呂も一緒でトイレも一緒。協力して顔や体を洗い、学校では並んで授業を受けた。喧嘩で殴り合いをすれば五人全員が巻きこまれ、誰かが階段で転べば、五人全員がゴロゴロと転がり落ちる。
何十年もそんな日々を我慢してきたけれど、もう、ウンザリだーー誰もがそう思っていた時、一つの朗報が飛び込んできた。

遥か西の国。竜の山と呼ばれるその場所に、願いを何でも叶えてくれる七色の宝石があるのだという。

僕達はその宝石を手に入れるため、冒険の旅に出ることにした。
生まれて初めて渡った氷の海では、クラーケンという怪物に襲われた。荒れ狂う船上で、蔦で繋がっていた五人の内、僕から一番遠いところにいた奴が手首だけを残して喰われてしまった。
三日三晩歩き通した広大な砂漠では、もうすぐで砂漠を抜けられるというところでアリ地獄の罠にはまってしまい、端から二番目の奴が自らを犠牲にして僕達を逃がしてくれた。
竜の山の麓に広がる樹海の洞窟では、不運にも崩落に巻きこまれてしまい、かつて五人の真ん中にいた奴が生き埋めになってしまった。僕は、泣く泣く事切れた彼の手首を切り落とし、先へと進んだ。

そしてとうとう、僕達は二人だけになってしまった。
熱風の吹き付ける竜の山を、僕達は無言で登っていった。そして、もうすぐ目的の宝石がある頂上に辿り着こうとしたところで、その山の主たる巨大な竜が、炎を吐きながら僕達に襲いかかってきた。僕達は必死に逃げ惑ったが、竜の攻撃により足場が崩れ、彼は崖の向こうに放り出され、僕と彼は崖に宙吊りの状態となってしまった。
僕は何とか彼を引き上げようとするが、彼の重さに引っ張られ、次第に身体は崖の方へと落ちていく。ここまでかーー僕がそう思った時。
彼は今までずっと使うことの出来なかった右手を震わせ、懐にしまっていた短剣を取り出した。僕は、そのことで彼が何をしようとしているのか瞬時に理解し、「やめろ!」と必死に制止する。

「自由になったこの手で、ようやくお前に恩を返せるよ」

ーー 今まで、ありがとう。

それだけを言い残して、彼は微笑んだ。
それから彼は、ためらうことなく自らの左手首を切り落とし、奈落の底へと落ちていった。

残された彼の左手が、空を切った僕の右手の先で寂しく揺れる。
この右手は、ようやく自由になったというのに。
本当に掴みたかったものを掴めないなんて、なんという皮肉だろう。

そうして僕は、ただ一人、七色に輝く宝石の元へと辿り着いた。
どんな願いでも叶えてくれるその宝石を前に、僕はとうとう泣き崩れた。
皮肉なことに、宝石の力に頼るまでもなく、僕の願いは叶えられていた。なのにどうして、こんなにも虚しいのだろう。無力で悲しい気持ちになるのだろう。今の僕は、あれほどまで希っていた自由の身だというのに、とても身軽で何でも出来るというのに、ちっとも嬉しくない。

ああ、ここに来て、ようやく分かった。
あれほど煩わしいと思っていた彼らが、僕にとってどれほど大事な存在であったかを。そして何より、僕が今ここにいられるのは、彼らが居てくれたからだということを。

僕は、七色に輝く宝石を手に、願いを呟いた。
たとえ、その願いのせいで、再び不自由な身になっても構わない。
近すぎて見えなかった大事なものを、僕はもう一度取り戻したいと願った。

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【あとがき】
グループ、特にジャニーズアイドルは、グループを組んだ時点で運命共同体であり、もうそのメンバーでどうにかして生きていかなければならない、という印象が強いです。一度デビューしたら、グループ間での移籍もなく、追加メンバーがあるわけでもない。そういう関係性を眺める中での、私の希望的な、願望的なものを含めた何かを表現したいなぁと思ったのですが…なんかアイドルと関係無い内容になってしまいました。すみません。毎度のことながらファンタジーなので、ツッコミどころ満載だなぁ、と思いながら読んで頂けたなら幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!